石巻市立湊小学校避難所

石巻市立湊小学校避難所

避難所で出会った人は、こんなに興味深くて、愛しくて、「おもしろかった」。

2011年3月11日におきた東日本大震災。石巻市湊地区の被害は甚大でした。

家を失った人たちが過ごしたのは、湊小学校。当初1500人もの人が避難していました。
10月11日に閉鎖されるまでの7ヶ月間、どのように過ごしてきたのでしょうか。
4月から10月まで滞在して寄り添いながら撮影した記録です。

4月末の避難所は、少し落ち着きつつも被災した人、ボランティアの人、自衛隊など様々な人々が
日々せわしなく働いていました。一刻も早い復興に向けてとにかくがんばろうとする姿がありました。
湊小学校がまるでひとつの「町」のように感じました。
人々の大きなエネルギーの渦の中で過ごしながら、「避難所」をまるごと収めたいと思いました。
被災者が、冗談を言い合ったり津波を笑い飛ばしたりしている姿にびっくりしたり、
でもその笑顔の裏で深い悲しみに打ちひしがれている姿を見ました。
自宅や自分の店を毎日片付け、再興させようとがんばる姿もありました。
そういうリアルな避難所生活を丁寧に切り取ることで、震災後の生活の過酷さをあぶりだしたいと
思いました。

湊地区は、旧北上の河口に位置する日和山と牧山にはさまれた自然にあふれていて、
古くから水産で栄えた活気のある町です。湊を愛する威勢のいい快活な人とたくさん出会いました。
ちょっと不謹慎かもしれないけれど、人って、こんなに興味深くて、愛しくて、おもしろいのか、
すごいなあと思いました。
そしてこの先も湊の人たちとお付き合いをしたいと思いました。
今、この大変な震災の記憶を忘れないことの重要性について考えています。
復興への道のりはまだまだ長いけれど、この作品が少しでも前に進むものへ繋がれるようにしたいと
思います。

藤川佳三

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